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書評 -「UNIXという考え方」について - その2

  前回に引き続きMike Gancarz著の「UNIXという考え方」について、書評を書いていければと思う。 3章 最初から上手くやろうとするより、最初は上手く行かないことを前提に考える 3章では最初の仕様に変更が無いことは稀で、状況に応じて仕様の変更を加えていかないといけないこと、そしてその為には早めの試作を行い、リスクを軽減する必要性について書かれている。 第一のシステムから第三のシステムというものまで存在するが、第三のシステムの様な機能と性能が最適化されたエレガントなシステムを最初から作れる訳ではない。 第一、第二、第三と順に過程を経ることで到達するものであり、第三のシステムから見れば第一のシステムやましてや第二のシステムは劣る様にも感じられるが、それは後から見れば結果そうなのであって、その時その時ではその各々のシステムが求められている。 章の最初の方にも書かれていたが、ソフトウェア技術者を始めとした常にスキルのアップデートが必要な職業の人々はソフトウェアと同じで、最初から完璧に出来る訳ではない。 長い時間をかけてスキルを洗練させていくものであって、試行錯誤を行いながら学び続ける必要がある。 このことは様々な学習や他のスキル習得にも当てはまるなと。自身も最初から全てを完璧に習得しようとして途中で躓いた経験が何度あったことか。そもそも完璧に習得なんて考え自体が傲慢だし、あり得ないことなのだが。 「UNIXという考え方」の書籍の購入は こちら からどうぞ。 以上、4章へつづく。

書評 -「UNIXという考え方」について - その1

Mike Gancarz著の2001年発売のかなり有名で既に読まれた方も多い著書だとは思うのだけれど、今も通じる大切なことが多く書かれていると思うので、自分なりに書評をツラツラと書いていければと思います。 これからもし読まれる方の参考になれば幸いです。 1章 UNIXの考え方におけるそれぞれの定理はシンプルで一見簡単に見える 1章ではこれから述べられるUNIXの考え方の定理が簡単にまとめてあり、その中でも1〜3の内容は他でもよく言われていることだが、意外といざ実践となると分かってはいても難しいことに気づく。 特に1の「スモール・イズ・ビューティフル」と2の「一つのプログラムには一つのことをうまくやらせる」を意識するかどうかでも実装が変わってくると思うので、常に頭の片隅に置いておきつつプログラムを書いていきたいし、その為の定石も自分の中に蓄積していきたい。 そう言えば高校の時に数学の先生がいつも「Simple is the best!」って言っていたのをふと思い出しました。 後、UNIXの成り立ちをみていてやはり基礎研究の厚みって重要だなと。基礎研究の中から企業がプロダクトにして世の中に価値提供が行われる好循環があってこそUNIXシステムやその他のオペレーティングシステムが発展してきたと思うので。 2章 とにかく小さいプログラムは素晴らしい 2章ではシンプルで小さいプラグラムの素晴らしさについて書かれている。近年柔軟性を兼ね備えたマイクロサービスアーキテクチャの様な手法が新しいものの様に取り上げられているが、実はUNIXの黎明期からそういう手法というのは存在していて、基本は変わってないのだなと。 逆に言うと近年になってもマイクロサービスアーキテクチャが取り上げられるということは裏を返せば、各々分かってはいるものの中々実際には多くの困難が伴うことを表していて、新しいサービスであればまだしも既存のサービスを変えていくことはそれだけ難しく、それは世界中の多くのサービスが抱えている問題でもあるのかなと。 それから ls コマンドがここではUNIXの理想から離れた例としてあげられていたのだが、普段全くそんなこと考えもしなかったので、UNIX力まだまだだなぁと感じました。 「UNIXという考え方」の書籍の購入は こちら からどうぞ。 以上、3章へつづく。